172回 「本質論欠く豊洲移転論議」
世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が18日、都内で開かれ、元水産庁漁業交渉官で東京財団上席研究員の小松正之氏が「世界と日本の水産業からみた豊洲移転問題」をテーマに講演した。
小松氏は、日本の漁獲量がピーク時の1282万㌧(1984年)から466万㌧(2015年)にまで激減したと指摘。また、世界的に生産量が増えている養殖業に対し、「養殖業のピーク時(1980年)から30%も減っているのは先進国では日本だけだ」と述べた。
小松氏は、日本の漁業が衰退した原因として、資源管理の仕組みがないことを指摘。科学的根拠に基づいて総漁獲量を設定し、個別の漁業者に沿う漁獲量を割り当てた譲渡可能個別割当(ITQ)制度の導入を提案した。
また、中央卸売市場を経由しない市場外の流通が、現在50%にまで達したとし、「現在の豊洲移転論議には本質論が欠落している」と指摘。「中央卸売市場がなぜ必要なのかの根本的な議論を、卸、仲卸業者の方から積極的にしていくべきだ」と訴えた。
講演に先立ち、同クラブの近藤会長は「北朝鮮のミサイル発射に対し、米による空爆も現実味を帯びてきた。第2次朝鮮戦争が起こらないよう、情報戦が重要になってくる。また、小池都知事の豊洲移転問題は政治的で小池ファーストのような印象を受ける」と述べた。
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